これまで営業を必要としなかった業界の一つが電気工事業界という業界です。
これまでは1社の大手元請会社と密になって案件の受注から施工までを行うというのが業界の当たり前でした。
しかし、人口減少に伴って案件数自体が減ってくると、一層利益にこだわる必要が出てきて、元請企業から下請企業への値下げ要請が厳しくなります。
当然のことながら、自社の案件数自体も減ってきますので、自社としても利益を確保しなければならず、利益が出しづらい下請工事ばかり受注していると会社がどんどん疲弊していきます。
そして、材料費や人件費を抑える工夫をするものの、結局は限界が来て、下手をすると赤字になってしまいます。
それでは、電気工事業の営業として大事な要素は何でしょうか?
今回は新規顧客の開拓ではなく、既存顧客の売上アップ・単価アップに必要な3つの要素についてまとめます。
「ヒアリング力」とは
電気工事会社が単価をアップするために必要な要素の一つ目は「ヒアリング力」です。
「ヒアリング力」は言い換えると、お客様のニーズや要望を引き出す能力とも言えます。
これまでの電気工事業界では、「お客様のニーズや要望などはほとんど気にせず、とにかく言われたことだけを遂行する」といったスタンスがほとんどの会社のスタンスでした。
しかし、この時代にあってはお客様が言ったことだけを待っているようでは単価アップひいては売上アップにはつながりません。
そこで大切なのが「ヒアリング力」になります。
「ヒアリング力」をつけるために必要なこと
「ヒアリング力」というと、「電気工事の全てを理解しているベテランにしかできないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなことはありません。
どのようなことをニーズ・要望として持っているかを聞くことは若手社員でも聞くことが出来ます。
お客様先に伺って「何か困っていることはありませんか?」と聞くだけでも立派なヒアリングになります。
しかし、ただ「何か困っていることはありませんか?」だけでは、お客様からも「特にないね」と言われるのがオチになりますので、こういった聞き方はしないようにしましょう。
「ヒアリング力」では周囲の状況から課題を推察し、お客様の言葉に変えてあげる作業が必要になります。
例えば、打合せに呼ばれて会議室を通るとき、社員全員うちわを机の上に置いているとしたら、「もしかしたらこの会議室は空調の容量が足りないのかもしれない」と考えます。
そして、お客様との打合せ後、帰り際に「皆さんうちわを手元に用意されていますが、普段から暑いのですか?」と聞いてみます。
そうすると、多くの場合「そうだね。実は最近空調機の調子が悪くて」とか「いや、会社の方針で省エネ対策のために空調機を付けられないんだよね」といった反応が返ってきます。
このやり取りこそが「ヒアリング力」になります。
「ヒアリング力」向上のために、会社でもサポートできることがあります。
ヒアリングシート(お客様先に伺ったときに確認することシート)を作り、お客様先に伺うときに各営業担当者に持参してもらうという仕組みを作ることです。
ヒアリングシートはヒアリング品質を担保するもので、新入社員であっても最低限のヒアリングが出来るようになります。
こういった取り組みをすることで、電気工事会社としての「ヒアリング力」が向上していきます。
「ニーズ・要望解決力」とは
「ニーズ・要望解決力」はヒアリングを行った後に解決策を作り出すための能力です。
恐らく、ベテランの方が最も必要になるのはこの力です。
「ニーズ・要望解決力」はこれまでの経験や知識により得られるもので、一朝一夕に力が向上するようなものではありません。
この力を高めるためには、実際に施工を行う経験をしてみたり、様々な解決事例の収集をしたり、ニーズや要望を満たす技術の情報収集を行う必要があります。
「ニーズ・要望解決力」をつけるために必要なこと
「ニーズ・要望解決力」は上記でも説明している通り、過去の経験や知識を基に得られる力です。
売上・単価アップに必要な3つの要素の中でも一番つけづらい力となります。
しかしもちろん、つけづらい力であるからと言って何もしないと旧態依然の電気工事業界と同じになってしまい、育成に5年も10年もかかってしまいます。
「ニーズ・要望解決力」をつけるために必要なのは、社員が行った事例を集め、社員がいつでも見れるような仕組み作りを行っておくことです。
事例は当然のことながら経験には及びません。しかし、事例を多く学ぶほど、現場に入った時に学びのアンテナが立ちやすくなり、少ない経験で多くの経験値をつけることが出来ます。
様々な電気工事会社で起きているのが、過去の案件は全て現場任せ・職人任せで会社の財産になっていないことです。
会社として過去の案件情報の管理方法を明確にして、あとから入ってきた人がいつでも見られるようにすることが会社の「ニーズ・要望解決力」を高める第一歩となります。
「提案フロー構築力」とは
「提案フロー構築力」とは、お客様への提案時、どのような流れで話を進めようかと考える能力です。
お客様に提案するとき、ただ案件の提案をするだけでは上手くいかないこともあるのが営業です。
単価の高い案件程、この「提案フロー構築力」が重要な要素となってきます。
「提案フロー構築力」をつけるために必要なこと
お客様への提案が失敗するときというのは大体パターンがあります。
①競合他社の方が良い提案だったとき
②お客様の意図と異なる提案をしたとき
③お客様の温度感が下がってしまったとき 等です。
①競合他社の方が良い提案だったときは、営業としては素直に負けを認めることになります。
価格や納期で勝負することもできなくはありませんが、電気工事会社として売上アップ・単価アップを目指すのであれば、あまり良い策ではありません。
この場合、価格や納期での勝負に時間を割くよりも、競合他社を想定して、事前に比較表等を作る時間に充てる方がよっぽど有用です。
常に競合他社を意識し、提案を作ることが重要になります。
②お客様の意図と異なる提案をしたときは、そもそもの提案が間違っているのですから、お客様の声を改めて聞き直して再度提案します。
その時に「前回はこういったのに」と、前した話と違うことをどれほど指摘しても、ただ関係性が悪くなるだけですので注意が必要です。
③お客様の温度感が下がってしまったときは、中々元の温度感に戻すのは大変です。
そこで、そもそも温度感が下がらないように工夫をする必要があります。
そのうちの一つが、これまで打ち合わせてきた話の重要ポイントを議事録を書き起こし、打合せの度に議事録を見ながら話をするというものがあります。
打合せに時間がかかればかかる程細かい電気工事の話になり、本来の目的や意図を忘れがちです。
打合せの度に目的や、施工内容を変更した箇所の意図が分かるようにしておくことで、打合せの度に温度感が戻って話が進めやすくなります。
また、打合せの振り返りは②にも通じるところがあり、お客様の意図とズレていないかの確認にもなります。
以上、電気工事業の売上アップ・単価アップに必要な営業における3つの要素についてでした。
一気にすべてを変えるのは難しいと思いますので、出来そうなところから一つずつ行ってみてはいかがでしょうか。
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