皆様は一般的な電気工事会社の営業利益率平均がどれくらいだかご存じでしょうか?
日本政策金融公庫の業種別経営指標によると、2019年8月に公表されているもので0.4%だそうです。
黒字かつ自己資本がプラスとなっている企業の平均値に絞って見てみても営業利益率の平均は4.6%となります。
ちなみに、粗利率を見ると全体の平均値44.9%、黒字且つ自己資本がプラスになっている企業に絞ると43.0%となっています。
つまり、1,000万円の工事を売り上げたら、粗利としては449万円、営業利益としては4万円ということになります。
こう見ると、1万円の違いであっても大きく粗利、営業利益に影響していることが分かりますね。
当記事では、これらの利益をどのように改善することが出来るのか、その具体策も併せて解説していきたいと思います。
さて、上記で電気工事会社の一般的な粗利率や営業利益率についてご紹介しましたが、今貴社ではそれぞれどのような比率となっていますか?
このように経営者の方に伺うと、大体「う~ん、大体40%くらいかなあ・・・」とか、「平均値に近いものだと思うよ」という回答を頂きますが、あまり明確に「〇%だよ」とご回答いただくことはありません。
「そんな細かいことまで覚えていられないよ」という経営者の方もたまにいらっしゃいますが、もし粗利率や営業利益率を改善していきたいのであれば、これらの把握は必須となります。
上記の前提を踏まえたうえで、電気工事会社として利益を増やす方法は下記となります。
①工事ごとに変動粗利を把握する
②利益率改善のための会議を設ける
③請求漏れを防止する
④追加受注を促す
そもそも利益を改善したいという話が出ているにもかかわらず、変動粗利を把握していないというのは大きな問題です。
※変動粗利の説明については別途「電気工事会社の経営で重要な指標「〇〇利益」とは?」をご覧ください。
例えばお客さんが省エネでコスト削減したいという話が出たときに、必ず直近1年分の消費電力量を聞いたり、各家電や設備の消費電力を確認したりしますよね?
つまり、改善方法を検討し、効果を見ようにも、数字が分かっていないのではその改善方法も出なければ効果を推し量ることもできないのです。
そのため、利益率を上げる第一歩として必要なのが工事ごとに変動粗利を把握することとなります。
電気工事会社はその特性上、全ての取引を一括で管理して年に一回の決算時期に粗利や営業利益を算出して反省する、というようなやり方では、全く改善効果を得ることが出来ません。
電気工事会社では、案件ごとに使う材料費や労務費、外注費は大きく異なりますので、案件ごとに経費を把握することで、細かいレベルで利益率改善に取り組むことが出来ます。
会社として目指す変動粗利率から大きく離れるような案件については利益率改善の取組を促したり、場合によってはその案件を受けないという必要が出てくる場合があります。
粗利率・営業利益率の改善は必ず現場の声、知識が必要になります。
全ての現場を経営者の方が見ることはできないためです。
また、その案件についてはその案件の担当者がプロフェッショナルですので、どのような状況で工事内容を受けたのか、どのような取り組みをすれば今より利益を残すことが出来るのかが分かる場合が多いことも理由の一つです。
これらの改善策は、ある程度ベテランの方であれば自分で考えることが出来るかもしれませんが、当然日が浅く経験も少ない従業員と知識の差は大きくなります。
知識の差を大きくしないために案件ごとの利益率改善をテーマとした会議を開催することにより、現場ごとの利益率改善が人任せではなくなります。
この時、①で説明した工事案件ごとの変動粗利を各担当者が持ち寄る必要がありますので、常に現場担当者が変動粗利を把握しておけるような仕組み作りも必要になってきます。
変動粗利等の把握は様々な企業から原価管理システムが出ておりますので、最も自社に適したものを探してみてください。
ここまで説明してきたのは順当な利益の増やし方でしたが、③はそもそも請求すべきものを確実に請求しているか?という内容になります。
電気工事会社の場合請求書発行を忘れ、請求漏れをしてしまっている場合があります。
請求漏れが発生するパターンで多いのが、下記二点です。
①細かい案件が発生した際、現場担当者に直接連絡が行き、ドタバタしているうちに請求を忘れてしまう
②元請会社の注文書を受けずに工事が始まってしまう
請求漏れも結局のところ、案件の把握がし切れていないために発生する問題です。
請求漏れを減らすには、各工事案件に工事番号を付ける等して、各現場担当に工事番号ごとの請求書発行をしてもらう等の工夫が必要になります。
100万円の工事の請求を忘れたら、純粋に100万円の売上が得られないだけでなく、工事で発生した原価等も考えると100万円以上の損となります。
施行した工事については確実に請求し、入金いただくことも大切です。
さて、最後になりますが、追加工事の受注を促すというのも利益率を上げるポイントです。
同工事内で追加の案件を受注した場合、営業にかかる人件費は発生していないようなものです。
新規案件を取りに行く場合は、受注できるかどうかも分からない案件に対して営業担当者が営業のために車を走らせ、営業を行わなければなりません。
既に工事を受注している時点でお客さん先に出向くことは必要になりますので、そのタイミングで追加工事を促して受注すれば営業にかかる経費は少なく済みます。
この時に気を付けなければいけないのは、追加工事案件については別の予算を取って進めていくことです。
既存案件とまとめて進めてしまうと変動粗利が把握しづらくなり、追加受注によって利益が上がったのか下がったのかが分かりづらくなってしまいます。
既存工事を行う中で、追加受注を促す動きをしながら、気持ちは別案件として進めていくことが大切です。
"以上、電気工事会社で利益を増やす方法について触れてきましたがいかがでしたか?
ぜひ自社での利益率向上のために参考にして頂ければ幸いです。